常勤換算の計算方法|「2.5人以上」の意味と、求人票から職場の人手を読む方法
訪問看護ステーションの求人を見ていると、「常勤換算2.5人以上」という言葉が出てきます。
施設の説明会でも「常勤換算で7.2人配置しています」と言われることがあります。
「実際は何人いるの?」 というのが、聞いた側の正直な感想だと思います。
常勤換算は、パートや時短勤務の人を「常勤何人分か」に直して数える方法です。
計算式そのものは単純ですが、この数字だけで人手の余裕は測れません。
仕組みと、求人票から読み取れること・読み取れないことを分けて整理します。
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常勤換算とは、働いた時間を常勤の人数に直す考え方
常勤換算(じょうきんかんさん)は、次の式で求めます。
常勤換算数 = 全職員の週の勤務時間の合計 ÷ 常勤職員が働くべき週の勤務時間
分母になるのは、その事業所が定めている常勤の週所定労働時間です。
週40時間の事業所もあれば、週38時間45分の事業所もあります。
分母は事業所ごとに違うので、他の施設と単純に比べられない数字でもあります。
計算してみる
週40時間が常勤の訪問看護ステーションに、次の3人がいるとします。
| 職員 | 週の勤務時間 | 常勤換算 |
|---|---|---|
| Aさん(常勤) | 40時間 | 1.0 |
| Bさん(パート) | 20時間 | 0.5 |
| Cさん(パート) | 16時間 | 0.4 |
| 合計 | 76時間 | 1.9 |
76 ÷ 40 = 1.9 なので、常勤換算1.9人です。
頭数は3人いても、基準上は1.9人という扱いになります。
なぜこの数え方をするのか
パートや時短の人を「1人」と数えてしまうと、
週10時間しか働かない人が10人いる事業所と、常勤10人の事業所が同じ扱いになります。
実際の提供体制はまったく違うのに、です。
そこで時間で数え直すのが常勤換算です。
介護保険や医療保険の人員基準は、この数え方を前提に作られています。
「2.5人以上」の意味
訪問看護ステーションを開設するには、
看護職員が常勤換算で2.5人以上必要と定められています。
この2.5という数字が、求人票や事業所の説明でよく出てくる理由です。
ここで押さえておきたいのが、次の2点です。
1. 2.5人は下限であって、余裕のある人数ではない
基準ぎりぎりの事業所は、1人が辞めたり長期休暇に入ったりすると、
すぐに基準を割ります。基準を割ると事業の継続に関わるため、
現場は「休みにくい」空気になりがちです。
2. 常勤が1人以上いる必要がある
全員がパートで合計2.5人分、という形は認められていません。
管理者は常勤の看護師または保健師である必要があります。
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求人票から人手を読むときの4つの見方
常勤換算の数字は、そのままでは職場の忙しさを教えてくれません。
次の4点とセットで見ると、輪郭がつかめます。
1. 常勤換算数と、実際の在籍人数を両方聞く
「常勤換算5.0人」でも、中身が常勤5人なのか、常勤2人+パート6人なのかで働き方が変わります。
パート比率が高い事業所は、土日や夜間のオンコールが常勤に集中しがちです。
2. 利用者数(患者数)で割ってみる
訪問看護なら「常勤換算1人あたりの利用者数」、
病棟なら「看護配置」と病床数の関係を見ます。
人数そのものより、1人あたりの負担が実態に近い指標です。
3. オンコールの当番回数を聞く
訪問看護では、ここが生活への影響を最も左右します。
常勤換算が同じでも、オンコール可能な人数が3人と6人では、当番の頻度が倍違います。
4. 直近1年の増減を聞く
いまの人数より、増えているのか減っているのかが重要です。
減り続けている事業所は、残った人の負担が増えている最中にあります。
面接で聞きにくいと感じるかもしれませんが、
「常勤換算では何人になりますか」「そのうち常勤の方は何名ですか」という聞き方なら、
事務的な確認として自然に尋ねられます。
自分の勤務が常勤換算でいくつになるか
転職や働き方の変更を考えるとき、自分の勤務時間が常勤換算でいくつになるかは、
次のように計算できます。
- 週30時間勤務、常勤が週40時間の事業所 → 30 ÷ 40 = 0.75
- 週24時間勤務(1日8時間×週3日)、常勤が週40時間 → 24 ÷ 40 = 0.6
- 週16時間勤務、常勤が週38時間45分(38.75時間) → 16 ÷ 38.75 = 約0.41
分母が事業所によって違うため、同じ勤務時間でも数字が変わる点に注意してください。
なお、常勤換算はあくまで人員基準を満たすかどうかを測るための数字です。
社会保険の加入要件や、有給休暇の付与日数の計算とは別の制度です。
「常勤換算0.75だから社会保険に入れない」といった関係はありません。
訪問看護の求人を条件から探す
常勤・パート・時短のどれで入るかによって、
オンコールの有無や訪問件数の目安が変わります。
看護師の求人を勤務形態から探すと、
常勤・非常勤や勤務時間の条件で絞り込めます。
気になる事業所が見つかったら、上の4つの見方で人手の実態を確認してみてください。
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よくある質問
Q. 常勤換算に、管理者や事務職員は含まれますか。
基準で数えるのは、その基準が対象としている職種です。
訪問看護ステーションの「看護職員2.5人以上」であれば、
看護師・保健師・准看護師が対象で、事務職員は含みません。
管理者が訪問業務も行っている場合、その勤務時間は算入できます。
Q. 残業時間は常勤換算に入りますか。
所定労働時間で計算するのが原則です。残業を足して人数を水増しすることはできません。
Q. 育休中の職員は数えられますか。
実際に勤務していない期間は勤務時間が0なので、常勤換算には算入されません。
そのため、産休・育休が重なる時期は事業所側が人員確保に動くことになります。
Q. 病院にも常勤換算はありますか。
あります。ただし病棟の看護配置は「7対1」「10対1」のように
入院基本料の施設基準として別の形で示されるため、
求人票で常勤換算という言葉を目にする機会は訪問看護や介護施設のほうが多くなります。
まとめ
常勤換算は、全員の週勤務時間の合計を、常勤の週所定労働時間で割った数字です。
訪問看護ステーションの「2.5人以上」は開設の下限であって、余裕のある人数ではありません。
求人票でこの数字を見たら、実際の在籍人数・利用者数・オンコール回数・直近の増減の
4点をあわせて確認してください。人手の実態は、そこにしか出てきません。
参考
- 健康保険法・介護保険法に基づく指定基準(指定訪問看護事業者の人員基準)
- 厚生労働省「介護サービス事業者の人員・設備・運営基準」
- 厚生労働省「常勤換算方法について」