新人看護師への教育方針で困惑

新人看護師への教育方針で困惑

看護師の皆さん、新人の頃先輩方にどのような教育を受けたか覚えていますでしょうか?

教育方針は病院や指導者によって多種多様で、

  • 常に行動を共にしながら事細かに指導する人
  • わからないことがあったら指導者だけでなく他の看護師にも聞いていいという人
  • 自分の業務に精一杯であまり指導をしてくれない人
  • 基本野放しでわからないことがあれば聞いてという人

病院ごとに基本の新人教育マニュアルがあるものの、このように個人によって方針が異なってくることから、指導者によって新人時代の働き方もそれぞれ大きく異なってきます。そこで今回は、実際に私が新人時代に受けた教育と、教育をする立場になって困惑したことについてご紹介していきたいと思います。

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目次
  1. 新人看護師への教育方針とは
  2. 看護師1年目
  3. 急に独り立ち
  4. 掴めない距離感
  5. 臨機応変は新人には困難?
  6. 認知症患者に関しての教育は希薄
  7. 教育する立場になって困惑したこと
  8. 勉強熱心で意欲的な新人
  9. 逐一報告
  10. ホウレンソウの線引き
  11. まとめ

新人看護師への教育方針とは

病院ごとに方針は異なるとはいえ、そこまで大きな差はありません。ですがなかには、その後の看護師人生に影響を及ぼす指導方針をする方もいます。ここでは、私が実際に新人看護師として教育期間中に困惑した出来事についてご紹介します。

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看護師1年目

看護師1年目で配属された病棟は、比較的穏やかな病棟ということを聞かされていたので、1年目の私にはぴったりだと思い胸をなでおろしていました。私の指導者Aは看護師歴20年ほどの大ベテラン。看護師特有の気の強さやサバサバとした性格でしたが、日々学びという風に気持ちを切り替えその日から業務に入ることになりました。

はじめはAとペアで受け持ち患者を診る日々でした。学生時代の実習で身に着けていた、現場の看護師に負担にならない空気の読み方を実践していたことから、Aからキツイ指導を受けたりするようなことは回避することができていました。自分なりに考えに考え、それでもわからないときにだけAに指示を仰ぐようにしていたこともあり、「〇〇さん(私)みたいな人が入ってくれて本当に良かった」と褒めていただくこともあり、私も良いスタートになったとホッとしていました。

ですが、1週間を過ぎたあたりで状況は段々と変わっていったのです。

急に独り立ち

そのころ、私は一通りの業務の流れはなんとか理解し、不安ながらも冷静さを保ちながら仕事に励んでいました。タイミング等もあったのか、それまでもAに指示を仰いだりすることは特になく、患者にも大きな変化もないことから、受け持ち以外の患者のカルテを見る時間や記録を入力する時間等を設けて下さったりと、私が想像していた以上に周囲もやさしく安堵する日々でした。

そんな日々が過ぎ、やりがいを感じ始めていたころ事件は起きたのです。ある日、医師からの薬の指示変更メールが来ていたのを見落としてしまったのです。しかも、そのことに気づいたのは、変更するはずの昼薬を飲ませた後のことでした。もちろん見落とした私のミスですが、「Aさんもメール見れるはずだよね? 1人ならまだしも2人で見落としってさすがにね」と他の看護師たちの会話が耳に入ってきました。

私はその会話を聞くまで、Aも私と同じメールが見られることを知らなかったので、Aに恐る恐る聞いてみたのです。すると、「〇〇さん(私)はこれからなんでも1人でやっていかないといけないんだから敢えて言わないでおいたのよ」とAから言われました。そんな~(涙)と内心思いましたが、Aの考えも一理あると思い、その件はAに教わりながらインシデントレポートを書き終わりました。

それまで、私がAに対して空気を読みすぎたことも原因の1つとして考えられますが、この件のように、急にすべて私の責任にされるようなことがその後も何度かあったのです。それまでは比較的順調と感じていた新人教育機関でしたが、これ以降、徐々に暗雲が立ち込めてくることになるのです……。

掴めない距離感

私は業務にも病棟の雰囲気にもだいぶ慣れてきて、Aとも仕事以外の他愛もない会話をするほどリラックスして働けていました。そんなある日、重度の認知症で昼夜問わずコールも頻回で危険行動も多々ある患者を受け持つことになりました。学生時代にボランティアとして施設を訪れるたび、さまざまな認知症の方と交流した経験がありましたが、病院の患者となると、施設にいる認知症高齢者とはまた違った一面がありました。まずそのギャップに混乱し、高齢にも関わらずこんなにも凶暴でパワフルなのか! と正直驚きました。

そのころの私は、Aとペアで患者を受け持っていましたが、もうほとんど私1人で患者を看護している状態でした。Aは副師長ということもあり、現場での業務の他に委員会などの準備もあって多忙だったことから、私の独り立ちは同期の看護師に比べて早かったと思います。

さらに、その頃にはAはほぼ病棟に居られないほど忙しくなっていたため、何か聞きたいことがあっても「他の人に聞いてもらっていい? それでもわからなかったらまた聞いて」と言われることもしばしば。一方で、比較的ゆとりがあって病棟にいる時間が長いときは、「何か気になることある?」など急に聞かれることもあり、私はAとの距離感を掴めずにいました。

臨機応変は新人には困難?

前述したように、私は認知症患者に対しての看護やコミュニケーションに自信がありませんでした。しかも、他の看護師に聞いても「臨機応変にやるしかないよね~」と曖昧な返事で、改善するにもどうすればいいかわからず、悶々とした日々を過ごしていました。

そんなある日、夕飯時になると激しく不穏になる受け持ち患者が問題を起こしました。夕飯の時間帯は、私たち看護師も記録などで特に忙しい時間帯のため、手一杯な状態。そんななか、その患者はいつも通り、ベッドから降りようとしたり部屋から大声で叫んだりし始めました。実際に誰かに言われているわけでは無いですが、「受け持ちのナースなんとかしろよ」というような看護師特有の無言の圧をひしひしと感じた私は、仕方なく患者を車椅子に乗せて、私の横に居ていただくことにしました。

記録を入力しながら何気ない会話をして、患者の気を紛らわそうとしましたが、一向に落ち着く気配がありません。そこで、気分転換もかねて棟内を散歩することにしました。そうしてやっと患者も落ち着きを取り戻したのは定時の5分前。記録は半分も終わっておらず、残業確定だなと思いながら患者をベッドに戻して業務に戻りました。

するとちょうどそこに、委員会を終えたAが戻ってきたのです。Aは残業している私を発見するや、「え? 何かあったの?」と聞いてきました。そこで経緯を説明すると、溜息交じりに「そういうのは手の空いてる看護師か助手にお願いして臨機応変にしないと毎回残業することになっちゃうよ」と言われたのです。

Aの発言に対して納得するところもありましたが、正直なところ、「それはあなたが副師長だからできることです。私はただでさえ新人という立場で肩身が狭いのに、他の人に頼るなんてできません」というのが本音でした。結局Aからは、「大変だったね。お疲れさま」などの言葉はもちろんなく、「今後こういうことがないよう時間配分や臨機応変に対応していくよう」と指導されてその日は終わりました。

認知症患者に関しての教育は希薄

上記のことをきっかけに、医療面の教育はしっかりしているけど、認知症患者の不穏行動への対応など、心理的側面に関しての教育が希薄な病院だなという印象を受けました。私のようにとことん向き合う人もいれば、自然に落ち着くのを待つ人、薬に頼ろうとする人など対応がさまざま。どれが正解ということはないかもしれませんが、自分がどういった行動をとるべきかの判断が難しいことが、特に新人時代は何度もありました。

前述したように、「臨機応変」は経験等で培われるものだと私は思っています。この経験を通して改めて、はじめから新人に求めるのは難しいのでは? と考えるようになりました。臨機応変も大事かもしれませんが、それはしっかりとした教育や知識があるからできることであり、不十分な教育しか受けていない状態では危険だとも感じました。このように、新人時代は先輩方の教育方針に困惑することが多々ありました。

教育する立場になって困惑したこと

ここまでは、自身が教育を受ける立場で困惑したことをご紹介しましたが、ここからは、教育する立場になって困惑したことについてご紹介したいと思います。

勉強熱心で意欲的な新人

医療現場に限ったことではありませんが、報告・連絡・相談すなわち「ホウレンソウ」はたくさんの人と一緒に仕事をする上で重要です。私は新人教育において、このホウレンソウに関して悩まされた経験があります。

私は病棟にきて5年が経とうとした頃、新人看護師Aの教育担当になりました。Aは看護師としても社会人としても1年目ということで、非常に緊張している様子でした。はじめの数日は、病棟や業務の流れに関することやカルテの見方などに関して、マニュアルに沿った指導をおこなっていました。

ようやく私とペアで患者を受け持つようになった頃、Aは出勤時間よりずいぶん早く出勤して、くまなく情報を収集していました。患者についての疑問があれば、勤務開始前から私に相談してくるほど勉強熱心で感心していました。ですが、そんなAへの教育方針に困惑するようになってしまったのです……。

逐一報告

どんな点に関して困惑したかというと、何もかも逐一報告や相談をしてきていたことです。ホウレンソウは仕事において重要なことと先ほど述べましたが、一人前になるにはある程度のことは自分で判断し行動できるようにならなければなれません。では、なぜ私が困惑していたのかというと、逐一ホウレンソウするAに対して、「まずは自分で考えてやってみて。それでもわからないときは相談して」と言えば、結果としてAに無理をさせてしまうのではないかと思ったからです。Aが不安な気持ちのまま行動して、何か事件を起こしたらどうしよう? と心配している自分に対して一番困惑していました。

しかし、とりあえず1週間は様子を見ることにしました。Aは相変わらず、「〇〇さん(患者)が~だそうですけど~したほうがいいですか?」などカルテを見ればわかるようなことも私に報告しにきていたので、私も勇気を出して「一旦自分で考えて行動してみて」と言ったところ「わかりました」と答えてAは業務に戻って行きました。

ホウレンソウの線引き

案の錠というのか、Aは私の発言を”怒っている”という風に受けとってしまったのか、それ以来、はじめの頃が嘘のようにほとんど話しかけて来なくなったのです。私は「やってしまった……」と落ち込みましたが、自分の言い方も悪かったのかもしれないと思い、「何かわからないことある?」とAに話しかけたところ「今のところ大丈夫です」と突き放されてしまいました。

溝ができてしまったとはいえ、Aが自分1人の力で取り組もうとしている姿を見て、これでよかったと自分に言い聞かせていました。

ところが、そんなある日、事件が起きたのです。私とAの受け持ち患者の1人が、夕飯前、急にベッド上で嘔吐したのです。日中も特変なく過ごしていたため、原因がわからずAは軽くパニック状態でした。とりあえずバイタル測定して夕飯はストップ。なぜこうなってしまったのかについて話し合っていたところ、Aがあることを話し始めました。

事件が起きた、患者は朝食を3割程しか食べておらず、昼食は薬もあることから少し無理して全量召し上がってもらったとのことでした。

その患者は食事介助が必要で、日頃から基本食事は3~4割程しか召し上がらないのですが、便秘ということもあり、無理して食べさせなくていいと医師からの指示もある方でした。

そのため、嘔吐の原因は食べ過ぎおよび便秘、加えてリハビリしたことなどが考えられました。

今回の事故が起きてしまった原因や気を付けるべきだった点としては、

  • 日頃から全量食べている患者でも、食欲がないときなどは無理に強要しない
  • 直近の記録だけでなく、日頃からどのような傾向があるのかも確認する
  • いつもと違ったことがあった場合、一番に指導者に相談する

このようなことが挙げられますが、Aも私の発言を気にして相談しづらかったのかなと思うと私自身も凄く反省しました。

まとめ

教育される側、する側どちらも困惑することはとてもたくさんありました。どちらの立ち位置も経験した今思うことですが、新人教育期間はとても短く、短いがために信頼関係が非常に重要だということです。加えて、自分の軸をしっかり持っておくことで、困惑することも減らすことができるように感じました。